イギリスに2ヶ月いて、ベルリンに1週間いた。

「ほんましんど。飛行機無理。」 思った。ロンドンに着いてまず思った。 13時間も乗ってると、血の流れが滞って、体がどんどん膨張していく感覚になる。1〜2時間のフライトですらなるんだから13時間も乗ってたらそりゃ不調をきたす。 けれど着いた時間も夕方に差し掛かる頃だったから、急いで大して知らないロンドンの街に足を進めようとするのだけど、ネット依存症の私はsimカードを差し替えることを忘れない。

「全然開かない…」simケースが本当に開かない。それもそう。2年近く開けていないのだから。ベッドに、風呂に、さまざまな環境に耐えてきた私のiPhoneは何人たりとも許さない要塞の体をなしていた。日本から持ってきたクリップを変形させて、力を込めてもまぁ開かない。 苦節すること10分。開いた。汚い…なんかゴミ溜まってる…。

こんな感じで始まったロンドンの生活も、あっという間に終わってしまった。目的はロンドンの美大が行っている短期のコースに行くことだったんだけど、日本のエージェントがこのコースを激推ししてるから日本人がまぁ多い。(最終的にこのエージェントと軽く揉めることになる。)確かに英語を勉強するという意味では日本人が多い環境というのは喜ばしいことじゃないかもしれないけど、彼らと日本で会えたかというのまず不可能だったわけだから、この事実を頭ごなしに否定するのは良くない。

授業はとにかく楽しかった。本格的にartの勉強をするのは初めてだったから全てが新鮮で、全てが面白かった。このコースは9月からの一年のコースに入学するためのポートフォリオを作るみたいなコースで、例年はコースの最後に入学試験があるのだけど、今年はBrexitの影響か、既に定員が埋まってて入学試験が行われなかった。私は今年から行く気が失せてたから全然問題なかったけれど、怒ってる人もそりゃいた。これでエージェントと軽く揉めることになる。

ここに、ロンドンの二ヶ月は書ききれない。今思っても夢みたいな時間だった。学校が終わったあとに、クラスメイトの寮に集まって朝まで飲んだりしたのだって幸せそのものだった。

ブライトンというロンドンから南に行ったリゾート地に2回行った。帰りに見えるロンドンのビル群が東京を彷彿とさせて「ロンドンに帰りたくないな」なんて思ったけど、そもそもロンドンにいることが幸せの中だった。 多分、日本に住んでいるということも幸せの中なんだと思う。「幸せ」は非日常にいる時、容易に感じられるけど、非日常にいる時に日常の「幸せ」に気づくこともある。 ロンドンは非日常の中の幸せだったし、その非日常は私に日常の幸せを気付かせてもくれた。

最後にハグをして、皆が散り散りになっていく。 その大半は母国に帰る。日本とか。 ロンドンに残る人もいる。 私はベルリンに向かう。

ベルリンは暑かった。私にとって、極楽の気候だったロンドンとは大違いだ。暑い。ホステルの部屋は、コンクリートの壁だからか熱がこもる。スーパーで、ホステルにレンジはあったかなと思い、booking.comのページからレビューを見てみるととにかく部屋が暑い暑い。そればっかり書かれている。

因みにmicrowaveはなかった。

私は、”There isn’t microwave But there are too hot room like in the microwave”みたいなシケたレビューを置いていこうかと思ったけど、あまりにダサいからやめることにした。

ベルリンは住みたいなと思う街だ。様々なバックグラウンドを持つ人が集まっていて多様性を象徴するような街。日本じゃあ多分出会えない。あ、川崎がある。多分川崎。like 川崎。

自然も多い。スタンステッド空港で一夜を明かしたことと、飛行機の移動で疲弊してた私はホステルの前の公園で寝てしまう。とても気持ちが良かった。よく考えたら、日本の公園ですら寝たことはない。

物価も安い。大きいケバブとジュースを一本で約670円。旅になるとあまりご飯を食べなくなるから、大きくて安いケバブは本当に素晴らしい。ロンドンの物価の高さに半ば慣れていた私は舞い上がる。

ベルリンに来たのはベルリンの美大を見にいくためだったんだけれど、校舎内に少し入ってところで怖気付いてしまい、パンフレットだけ取って出てきた。最終日に分かったんだけれどずっとホステルで一緒だったルームメイトがそこの大学で働いていた。彼に案内して貰えば良かった。

基本的にベルリンでは美術館を回っていた。小さいのも合わせれば10くらい行ったと思う。来る前からマークしていたところは行き尽くした感がある。2、3年後にまた来たら楽しいだろうな。

最後の夜に新しく入ってきたルームメイトが日本人だった。4つ上。日本じゃあまず出会えない人。8月から富士山にいるらしい。私も日本に帰ったら富士山に登ることにしよう。

ベルリンの1週間も本当にあっという間だった。1つ心残りがあるとすれば、ホステルの隣にあったハンドメイドの服屋さんの服を買い損ねたこと。80ユーロに少し戸惑ってしまって。一週間考えると言って出てきたのだけど、さあ買おうと思った日曜日。休みだった。土日月がどうやら休みらしく買う機を逃してしまった。やらかした。

その腹いせに日本のECサイトで欲しいものが売りに出ているから買ってしまおうかと企んでいる。

今、クロアチアは首都ザグレブに向かっている。とりあえず、ケルンでトランジットなのでケルン行きの飛行機の中だ。散文旅行記をここまで読んでくれていたら嬉しい。

書いていないけど、ロンドン滞在中にベルギーにも行った。 勝手に授業を1日休んだから、先生に怒られた。 久しぶりに大人の人に怒られた。 もう許しておくれ、マーティン。